ステーブルコインの種類はどれくらいある?それぞれの違いを徹底解説を解説

ステーブルコイン 種類

ステーブルコインは何の資産を担保にするかによって種類が異なり、現在さまざまな担保が増えています。

本記事ではその中でも有名なステーブルコインの種類を紹介し、それぞれどのような違いやコンセプトになっているのか解説します。

目次

ステーブルコインの種類

ステーブルコインとは、特定資産に価格を連動させることで暗号資産の値動きを抑制したトークンの総称です

そして、ステーブルコインの種類は大まかに以下3つに分類されます。

ステーブルコインの種類
  • 法定通貨担保型(USDペッグ)
  • 暗号資産担保型(分散型)
  • アルゴリズム型(無担保・部分担保)
  • コモディティ型

法定通貨担保型(USDペッグ)

法定通貨担保型は米ドルなどの現金同等物と短期国債を100%裏付資産とし、発行体が準備残高を証明するモデルです。

最も発行額の多いUSDTは発行額1550億ドル超で最大シェアを占め、USDCやUSDeを含めた上位三銘柄で市場の約90%を独占しています。準備資産の大半が米国短期国債であるため、リスクは比較的低いと評価されています。

USDTとUSDCの詳細に関する解説は以下の記事でしているので、あわせてお読みください。

仮想通貨のUSDTとは?基本概要や他のステーブルコインとの違いを解説

仮想通貨のUSDCとは?基本概要や他のステーブルコインとの違いを解説

USDTについては、TronとEthereumが主要発行ネットワークで、TronにはUSDT残高の過半(約800億ドル)が存在しています。手数料の安さと高速決済が選好理由であり、個人間送金からOTC取引まで幅広く利用されています。
ETHチェーンでも主要なステーブルコインとして利用されています。

法定通貨担保型ステーブルコインのまとめ
  • 準備資産は米国短期国債や現金同等物がメイン
  • シェアはUSDT>USDC>USDeの順で多い
  • ほぼ全てのネットワークで発行されている

暗号資産担保型(分散型)

暗号資産担保型はETHやWBTCなどの仮想通貨を担保に発行されるステーブルコインです。

代表例のDAIは約54億ドルを供給し、担保価値が発行額を超えるオーバーコラテラル構造でドルペッグを維持します。

オーバーコラテラルとは担保を発行額以上に積む仕組みです。

分散型の利点は検閲耐性と透明性であり、担保残高はオンチェーンで常時監視できます。
SparkProtocolのsDAIのように、DAI預入を通じて金利を自動分配する派生トークンも登場し、利回り獲得手段として人気です。

暗号資産担保型ステーブルコインのまとめ
  • 担保資産は、ETHやWBTCなどの仮想通貨
  • 必要担保率:発行額の120%〜180%
  • シェアはDAIが筆頭

この方式の市場シェアは全体の1割弱ですが、DeFiユーザーからの支持が根強いです。

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アルゴリズム型(無担保・部分担保)

アルゴリズム型は供給量をバーンとミントで調整し、担保なしまたは部分担保でペッグ維持を狙います。

担保ではなく「仕組み(=アルゴリズム)」で価格を維持する仕組みのステーブルコインですが、過去事例を見ると失敗したケースが多いです。

Terraというブロックチェーンの発行するアルゴリズム型ステーブルコインであるUSTが過去に崩壊し、1ドルのステーブルコインが数日でほぼ無価値になったことがありました。この事件が示した通り、相関資産が同時に下落すると価格維持機構が機能不全に陥りやすく、無担保モデルは現在ほぼなくなっています。

2025年時点では部分担保にデリバティブヘッジを組み合わせたハイブリッド型が主流で、USDeが時価総額50億ドル規模に成長しています。部分担保とは、発行額の一部のみを担保資産で裏付け、残りをアルゴリズムで調整する方式です。

アルゴリズム型ステーブルコインのまとめ
  • 無担保モデルが昔は多かったが、2021年のUST崩壊後に縮小
  • 現在は部分担保+ヘッジ型のUSDeなどが台頭、一部で支持されている
  • 課題はペッグが外れるリスクが高いことと規制制限

安定性より資本効率を追求する投資家向けのニッチ市場となっています。

コモディティ担保型

コモディティ担保型ステーブルコインは、金(Gold)などの実物資産を100%裏付けに発行されるモデルです。

発行体は金などのコモディティ資産の現物を専用金庫に保管し、トークン 1 枚につき 1 g相当等の基準でトークンを発行します。

2025年4月時点でこのセグメントの時価総額は約19 億ドルと前年比 +67.8 %で拡大しましたが、ステーブルコイン市場の中では市場に占める比率は 0.8 %にとどまり、依然ニッチな存在です。

銘柄時価総額 (7/16/2025)ペッグ主チェーン特記事項
Tether Gold (XAUT)8.2 億ドル1オンスGoldEthereum / Tron (TRC-20)スイス保管
カストディ手数料ゼロで流通量首位
(CoinGecko, Coinbase)
PAX Gold (PAXG)9.4 億ドル1オンスGoldEthereumニューヨーク州信託会社Paxosが発行
DeFi担保としても採用 (CoinGecko)
Kinesis Gold (KAU)1.6 億ドル1gGoldKinesis Chain取引手数料の一部を保有者に配分する「Yield」モデル (CoinMarketCap, markets.bitcoin.com)

これら上位2銘柄(XAUT と PAXG)で市場の84%を占めており、実質的には金ペッグがコモディティ型ステーブルコインの標準になっています。

コモディティ担保型ステーブルコインのまとめ
  • 担保資産は実物ゴールドが中心。銀(KAG)などのトークンもあるがシェアは小さい
  • シェアは PAXG ≳ XAUT > KAU/KAG。上位 2 銘柄だけで約 84 %を占有
  • 発行ネットワークは Ethereum が主流。XAUT は Tron にも展開し、Kinesis は Stellar 系チェーンを採用

日本で買えるステーブルコインと購入方法

日本で変えるステーブルコインは以下の通りです。

日本国内で取り扱われているステーブルコイン
  • USDC:SBI VC Tradeで取り扱われている
  • DAI:ほとんどの取引所で取り扱われている
  • ZPG:bitFlyerやSBI VC Tradeで取り扱われている

上記は金融庁の発行元適格性審査を通過しており、日本円入金から即時変換が可能です。

国内取引所ではステーブルコイン↔日本円のスプレッドが縮小傾向で、実勢レートとの差はおおむね0.2%以内に留まります。流動性指標としてはメイカー深度100万ドル規模が確保されている点も安心材料です。

USDTとアルゴリズム型ステーブルコインは、まだ国内で解禁されていないので、海外取引所の口座を開設してそちらから購入する必要があります。

ステーブルコイン投資は儲かるのか?

ステーブルコインは価格が固定されているので価格差による利益を狙うのが難しいです。

そのため、ステーブルコインは儲かるのか?と言われることが多いですが、運用によって利回りを得る手段があります。
以下の記事でステーブルコインで年利10%程度の利回り収入を得る方法を解説しているので、お読みください。

ステーブルコインは儲かるのか?低リスクで稼ぐ運用方法を解説!

主要ステーブルコインの違いを比較する

種類安定性分散性資産効率規制適合
法定通貨担保型
暗号資産担保型
アルゴリズム部分担保型
コモディティ担保型

USDCとUSDTの違いをわかりやすく整理

USDTは香港拠点のTether社、USDCは米国のCircle社が発行しており、準備資産報告の頻度と開示範囲が大きく異なります。USDTは月次、USDCは週次で報告し、USDCは会計事務所の保証書を公開しています。

USDTは発行額が1550億ドル超と最大で、Tronチェーン比率が高い反面、オンチェーン証明よりも第三者レポート依存度が高い点が指摘されています。USDCは金融機関保管を徹底し、執行当局との連携を深めています。

ステーブルコインの将来性

ステーブルコインは、現在仮想通貨市場の中でも、かなり重要でかつ需要も高い仮想通貨の種類です。

その理由は利便性にあります。通常仮想通貨は、基本的に価格変動するのが基本ですが、ステーブルコインは価格の変動が起きないため、ヘッジや退避に利用できます。

そのため、仮想通貨が取引される以上、ステーブルコインの需要は尽きないわけですね。

ちなみに、ステーブルコイン市場の約97%がドル建てで発行されています。なぜドル建てが主要なのかを少し解説します。

ドル流動性とネットワーク効果

世界貿易の決済通貨としてドルは圧倒的シェアを持ち、原油取引や資本市場で不可欠です。ドル建てステーブルコインはこの既存決済網と親和性が高く、即時清算ニーズを満たすことで急成長しました。

ユーザーが多いほど流動性が増し、取引コストが下がるネットワーク効果が働きます。その結果、発行体もドル準備資産で利息を得やすく、好循環が形成されます。

流動性と収益性の両立がドル集中を恒常化させています。

国債運用モデルと発行者インセンティブ

発行体は預かったドルを短期国債で運用し、利息を利益に計上します。国債流通市場が巨大なため、流動性を損なわずに運用できる点がドル建てモデルの強みです。

このモデルにより、発行体は手数料をゼロに近づけつつも安定収益を確保できます。

ユーザーは価格安定を享受し、発行体は利息という継続的インセンティブを得るウィンウィン構造です。

ステーブルコインでドルが主流な理由
  • ドルは現在、基軸通貨として、世界貿易決済の中心になっている
  • ドルは清算速度が早い。清算需要が高い分、流動性が高い
  • 資金コスト的にも、発行体国債運用が効率的なぶん使いやすい
  • 準備資産が米国の短期国債が中心になっているため

ステーブルコインの種類についてよくある質問

ステーブルコインの種類についてよくある質問
  • ステーブルコインは安全資産と言えるのか?
  • 担保資産が不足した場合はどうなる?
  • どのステーブルコインを長期保有に選ぶべき?

ステーブルコインは安全資産と言えるのか?

ステーブルコインは価格変動を抑える設計ですが、担保リスクと規制リスクが残るため完全な安全資産ではありません。

法定通貨担保型でも発行体破綻の可能性を排除できず、暗号担保型は担保資産価格変動リスクがあります。
したがって低リスク運用を求める場合でも、分散保有と監査報告の確認が重要です。

担保資産が不足した場合はどうなる?

発行体は追加担保の速やかな投入または発行残高の償還を行う必要があります。

担保不足が即時に解消されなければ、ペッグ維持が崩れデペグが発生する可能性が高まります。

利用者は準備資産比率とリアルタイム報告の有無を監視し、危険兆候を察知したら早期にリスク削減を図るべきです。

どのステーブルコインを長期保有に選ぶべき?

長期保有の第一条件は準備資産の安全性と監査透明性です。

法定通貨担保型のUSDCや分散型のDAIが代表的選択肢になりますが、利回りを重視するならUSDYのようなイールド型も検討できます。

一方、アルゴリズム型はリスクが高く長期保有には向きません。

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