Solanaが「もう終わった」「オワコンだ」といった見出しが SNS や一部メディアで話題になります。
しかし、本当に投資価値が失われたのか本記事では直近データとプロジェクトの最新ロードマップを総合し、Solanaの現状と将来性を解説します。
Solana(SOL)がオワコンは本当なのか?
Solanaがオワコンと言われる原因には、以下があります。
- 過去のネットワーク停止が招いた信頼失墜
- 米 SEC による有価証券認定リスク
- Ethereum L2 との競争激化
- 中央集権・MEV 依存リスク
過去のネットワーク停止が招いた信頼失墜
Solana が「オワコン」と揶揄される最大の理由は、2021~23 年に繰り返した長時間停止です。
実際、2022 年 9 月には 17 時間、23 年 2 月には 18 時間ネットワークが停止し、「高速だが脆いチェーン」という烙印を押されました。これらは単一クライアント実装のバグと DoS 攻撃耐性不足が複合した結果で、投資家心理に長期の爪痕を残しました。
ところが 2024 年後半から状況は大きく変化します。公式ステータスによると 2025 年 4・5・6 月は月間 100 %アップタイムを達成し、「いつ落ちてもおかしくない」という段階は明確に脱しました。
要因は二つあり、第一に Validator クライアントのコード最適化とバグ修正の反復、第二に Firedancer を中心とする並列クライアント体制の準備です。
Firedancerはカナダ発のステーキング・インフラ事業者で、PoS 系ブロックチェーンのバリデータ運用、データ API 提供、リサーチレポート発行を手がける企業です。
Solana・Ethereum など多数チェーンでノードを運営し、四半期ごとのネットワーク健全性レポートを公開しています。
Firedancer は Jump Crypto が開発する C 言語実装で、2025 年 1 月の多負荷テストで稼働中ノード 18 台を含みながらゼロダウンタイムを記録しました。
現在行っている取り組みによって「単一実装に依存する全停止リスク」を劇的に縮小できる点が決定的です。
米 SEC による有価証券認定リスク
2023 年 6 月、SEC は SOL を未登録証券と名指しし、主要取引所はいったん上場維持をためらいました。事実、Robinhood は同月末に SOL の取扱いを停止し、米国居住者の流動性は急速に細りました。
この訴訟は 2025 年現在も係争中で、「再び強硬姿勢に転じれば売り圧力が高まる」との警戒が残っています。
もっとも、2024 年後半に SEC は有価証券主張を暫定的に取り下げ、審理は「事実関係の精査」フェーズへ移行しました。
同時に、MiCA が施行された欧州では SOL が規制的にクリアと判断され、Bitstamp や Gate.io EU 支部が上場を拡大。アジアでもシンガポールや日本の交換業者が取り扱いを継続しており、流動性の地理的分散が進んでいます。
MiCAとは、EU(欧州連合)による暗号資産(仮想通貨)に関する規制法案「Markets in Crypto Assets」の略称です。
さらに「証券性のない L1 ネイティブトークン」という判断例(例えば XRP 和解など)が既に市場に前例を提供しています
もし訴訟が和解もしくは縮小判決に落ち着けば、Solana に ETF や ETP が設定される可能性も取り沙汰されており、これは逆に資本流入トリガーになり得ます。
イーサリアムやレイヤー2チェーンとの競争激化
Arbitrum や Optimism など Ethereum L2 が台頭し、「高 TPS・低手数料はもはや Solana の専売特許ではない」との声が上がりました。
確かに L2 で単純送金が 0.10 ドル前後まで下がり、一部では「Solana 優位の終わり」を指摘する論調も見られます。
しかし実測値を突き合わせると依然大きな差が残っています。Mediumの技術比較記事では 2025 年 3 月時点で Arbitrum の平均 TPS 44、手数料 0.10–0.20 ドルと計測していますが、Solana はブロック確定 400 ms・手数料 0.00001 SOL 未満というオーダーの違いを維持しています。
高速ゲーム、オンチェーンオーダーブック DEXなど「データ送信時間の速さ」と「トランザクションコスト」が本質要件の dApp では依然 Solana が第一候補です。
中央集権・MEV 依存リスク
Solana は初期配分の偏りと上位 22 ノードに 66 %以上のステークが集中する問題を抱えてきました。2025 年現在、ノード地理分散が 46 か国に広がる一方で、MEV 収益の大部分を上位バリデータが獲得する構図は残存しています。
Figment の Q1 報告によれば Jito MEV によって平均ステーカー報酬は 25 %押し上げられたものの、報酬格差は拡大傾向です。
MEVはMaximum Extractable Value の略称で、バリデータやブロックビルダーが「どの取引をどの順番でブロックに入れるか」を調整することで得られる追加利益を指します。
Jito MEVはSolana 向けの MEV インフラを開発する Jito Labs が提供するリレー/バリデータクライアント経由で発生する追加報酬を指します。
取引順序最適化で得られた MEV をバリデータとステーカーに分配するモデルで、平均ステーキング利回りを押し上げる効果があります。
対策としては以下が進められています。
- 報酬分配を完全オンチェーン化する SIMD-0123
- MEV 競売に参加しやすい中小バリデータ向けツール公開
- リキッドステーキングを通じたステーク再分散
中央集権批判は依然消えませんが、コミュニティ主導で「インセンティブ再設計 → 分散度向上」という循環を築けるかが今後の注目点です。
リキッドステーキングとは、暗号資産をステーキングし、その報酬を得ながらステーキングした資産を代表するトークン(LST)を運用できる仕組みです。
Solana(SOL)の最新状況【2025年6月】
投資判断にはまず外部要因の理解が欠かせません。
2025 年前半、米連邦準備制度はターミナルレートを高水準で据え置き、中国経済は輸出鈍化と不動産調整で成長減速が懸念されました。この二つはいずれもリスク資産を圧迫し、暗号資産市場にも売り圧力をもたらしました。
それでも SOL は年初から 150 ドル台をおおむね維持しており、株式との相関が高まる環境下で「相対的に粘り強い」と評価されています。
価格が崩れにくい背景には、VC を中心とするリスクマネーが流入し続けるエコシステムの強さがあります。
Neutral Trade など Solana 上のプロトコルが 2025 年 6 月に 200 万ドルを調達したニュースは象徴的です。
金利高止まりは短期投機を鈍らせる一方、ブロックチェーンを利用した低コスト決済や RWA(現実資産トークン化)用途の関心を高めています。低手数料と高速確定性を武器にする Solana は、こうした実需シフトの追い風を受けやすい構造です。
投資家センチメントと先物市場のデータが示すもの
市場心理を量的に測る有力指標が先物資金調達率(Funding Rate)です。
無期限先物取引におけるポジションを保有している期間に発生するスワップ手数料です。
2025 年 4 月以降、Solana 先物の資金調達率は一貫してプラス圏で推移し、レバレッジロングが優勢であることを映しています。これは 2022‒23 年にマイナスが常態化した時期とは対照的です。
またボラティリティ面では 30 日実現ボラティリティが 60%前後と、2023 年秋の 110%から半減しました。ボラティリティ低下は機関投資家が求めるリスク管理基準をクリアしやすくし、オプション市場の厚みをもたらしています。
以下に主要センチメント指標の変遷を簡潔に示します。
指標 | 2023 年秋 | 2025 年 5 月 | 変化のポイント |
---|---|---|---|
先物資金調達率 | -0.03%/8h | +0.02%/8h | ネガティブ → ポジティブへ転換 |
30 日実現ボラ | 約 110% | 約 60% | 半減しリスク管理しやすい水準 |
日次現物出来高 | 100%(ピーク比) | 65% | メムコイン失速で縮小も DeFi が補完 |
表が示す通り、短期的な熱量は落ち着きながらも、ロングサイド優勢と安定したボラティリティが組み合わさり、「適度なレンジ相場で買い拾う」投資家が増えています。
ネットワーク健全性を裏付けるオンチェーン指標
投資価値の源泉はネットワーク安全性と利用実績にあります。
Solana Status のログによれば、2025 年 4~6 月は月間 100%アップタイムを達成し、かつての「いつ落ちてもおかしくない」という評判を払拭しました。
バリデータ分布も改善が続いています。Figment 四半期レポートはバリデータ数を約 1,400 台とし、ステーク集中を示す「スーパー・マイノリティーセット」の 66%閾値を下回る分散度に到達したと報告しました。
さらには 46 か国にノードが分布し、米国依存度は 33%未満です。単一司法権リスクを抑え、規制ショックの集中を防ぐ体制が整いつつあります。
次に手数料(ガス代)です。平均 0.00001 SOL 未満という超低コストは、Ethereum L1 や多くの L2 と比べても桁違いに安い水準です。
手数料の安さはユーザー体験を直感的に支え、NFT やゲームの少額決済を可能にしてきました。また MEVがステーカー報酬を押し上げる一方、バリデータ間の報酬格差拡大という新たな課題も浮上しています。
Solana(SOL)の今後の成長性
Solanaの今後の成長性を考えるには、以下2点が重要になるでしょう。
- 信頼性とスループットの飛躍
- DeFi・NFT・RWAの用途別に見る実利用の広がり
信頼性とスループットの飛躍
2025 年1月の高負荷テストでは、Firedancer ノード 18 台を含む実運用環境でゼロダウンタイムを達成し、過去に致命傷だった「単一クライアント依存」を事実上解消する道筋を示しました。
性能面でもインパクトは大きく、ネットワーク層のパイプライン改良により理論値 100 万 TPS、400 ms ファイナリティが視野に入っています。高速決済や高頻度取引型 DEX にとってこのレイテンシ短縮は UX を決定づける要素であり、Solana の差別化をより明確にします。
さらに、バグやDoS攻撃の拡散余地を大幅に減らす仕組みも導入されています。
Dos攻撃とは、ウェブサイトやサーバーなどのサービスに対して大量のデータ送受信をすることで、サービスを停止させたり、利用しにくくしたりするサイバー攻撃。
コード監査コストは上がる一方で、セキュリティと性能の同時向上という「二兎取り」を実現する好例といえるでしょう。
DeFi・NFT・RWAの用途別に見る実利用の広がり
分野 | 主なプロトコル | 伸び率 |
---|---|---|
DEX | Jupiter ・ Orca | 前期比 +27 % |
リキッドステーキング | Sanctum | 前期比 +31 % |
NFT | Tensor ・ Magic Eden | 前期比 +18 % |
RWA | Tokeny (不動産) | - |
Messariの2025 年 Q1 レポートによれば、Solana の「アプリ GDP」は前期比 20 %増の 12 億ドルに達しました。特に DEX 日次取引高は 4.6 億ドルから 8.3 億ドルへ急伸し、手数料優位が高頻度スワップ需要を強力にけん引しています。
NFT セクターは投機的取引が沈静化したものの、ゲームスタジオ主導のユーティリティ NFT が勢いを増し、Pump.fun や Orcaといったツールがローンチパッド機能を提供。日次手数料で Ethereum を上回る日も現れました。
RWA(現実資産トークン化)では、中米の土地登記や日本の不動産 STO が PoC 段階に入り、低手数料と高速確定性が実ビジネスの導入障壁を下げています。結果として TVL は USD 建てで伸び悩んでも、SOL 建てでは 18 %増加しており、資本効率の高いエコシステム循環が構築されつつあります。
Solana(SOL)の今後の成長性を見据えた投資戦略
Solana Foundation は 2025 年を「拡張の年」と位置づけ、性能向上・開発者体験改善・規制対応の三本柱を掲げました。
投資家はタイムフレーム別に戦略を分けるとリスクを管理しやすくなります。
以下に時間軸別の投資スタンスを示します。
期間 | 想定イベント | 戦略例 |
---|---|---|
短期(〜6 か月) | Firedancer テスト参加、本訴訟の進展 | レンジ内スイング+オプションベガショート |
中期(6 か月〜2 年) | MiCA 適合 ETF 承認、SIMD-0123 実装 | DCA で現物積立+ステーキング 6 – 8 % |
長期(2 – 5 年) | 処理能力 3 倍計画完了、RWA 本格化 | インカム+キャピタルゲイン両狙い |
ポートフォリオの 2 – 5 %を SOL に割り当てることで高リターンポテンシャルを取り込みつつ全体ボラティリティを抑えられます。
ステーキングで得るインカムは複利効果が高いため、長期目線では報酬再投資を組み込むと効率的です。
イーサリアムやレイヤー2チェーンなどとの性能・コスト比較
「高 TPS と低手数料」は Solana の代名詞でしたが、Arbitrum や Optimism など Ethereum L2 も手数料を下げています。とはいえ、Medium 技術比較記事は 2025 年 3 月の実測値を次のように報告しました。
- Arbitrum:平均 TPS 44、手数料 0.10 – 0.20 ドル
- Solana:平均決済時間 400 ms、手数料 0.00001 SOL 未満
このように「小口決済コスト」で見ると依然 50 倍以上の差があります。さらに Binance Research は Ethereum L1 手数料を 5 – 10 ドルとし、L2 でもスワップ 0.5 ドル前後かかると指摘しました。
Aptos・Sui など Move 系 L1 はフォーマル検証の容易さでセキュリティを訴求する一方、実稼働 TPS と流動性では Solana に届いていません。
CryptoNews のベンチマークは「Mysticeti コンセンサスは Solana より 23 %遅い」と試算しました。
総じて、高速決済・ゲーム・小額スワップでは Solana が優位、RWA や機関向け高セキュリティ案件は Ethereum L2 が支持を集める「棲み分け」構図が鮮明です。
イーサリアムの今後の将来性と比較すると、Solanaの将来性もより理解が深まるでしょう。
詳しく知りたい方は以下の記事をお読みください。
イーサリアムの今後の将来性は期待できる?2025年最新情報を元に徹底分析
Solana(SOL)がオワコンなのか?についてよくある質問
- Solana のネットワーク停止リスクはFiredancerで本当に解消されますか?
- 今から SOL を買うならどのタイミングが良いですか?
Solana(SOL)のネットワーク停止リスクはFiredancerで本当に解消されますか?
完全解消ではありませんが、リスクは大幅に低減します。複数クライアント体制により単一実装バグが全停止に直結しなくなり、DoS 攻撃面でも分散効果があります。
今後は Firedancer と既存 Rust クライアント双方のバグ検出体制が並列化されるため、障害発生時の影響範囲が限定されます。
今からSolana(SOL)を買うならどのタイミングが良いですか?
短期トレードならレンジ下限(例:120 – 130 ドル)での押し目拾いがセオリーです。
中長期なら Firedancer 正式ローンチや訴訟の進展といったイベントドリブンで積立ペースを調整すると、ボラティリティを活用しつつ平均取得コストを平準化できます。
Solana(SOL)は本当にオワコンなのか?-まとめ
結論から言えば、「Solana オワコン」論は現状のファンダメンタルズとロードマップを総合すると過度な悲観といえます。ネットワーク停止や規制リスクなど懸念材料は残るものの、以下の3点が投資価値を裏付けています。
- 並列クライアントとアップタイム改善で技術的信頼性が向上
- ユースケースの多様化により出来高減少を他領域で補完
- 高速・低手数料という差別化が依然クリティカル
とはいえ「高リターン=高リスク」の原則は変わりません。自分のリスク許容度と資産配分を踏まえ、情報アップデートを継続しながら戦略を組むことが肝要です。