今回は、仮想通貨レンディングの概要やメリット・デメリットなどを解説します。
仮想通貨レンディングは放置するだけで利息収入が生める画期的な運用方法ですが、仮想通貨を預ける分さまざまなリスクがあります。
リスクを理解し、運用シミュレーションをしたうえでレンディングを利用したいか考えたい方は最後までお読みください。
仮想通貨レンディングとは?
仮想通貨レンディングとは、仮想通貨を一定期間取引所や専業サービスへ貸し出し、利息(貸借料)として同じ通貨または法定通貨を受け取る運用手法です。銀行預金に似ていますが、元本保証はありません。
レンディングが行える仮想通貨や得られる利息は、レンディング業者によって異なるためレンディング業者選びが重要になります。
仮想通貨レンディングの仕組み
仮想通貨レンディングの仕組みは以下のようになっています。
- 貸主が取引所や専業業者に貸出申請する
- レンディング業者に貸出数量・期間を決め、仮想通貨を送付する
- 満期に貸主に元本+利息が返却される
貸し出し申請が許可され、仮想通貨をレンディングした時点で、貸主と借主間で消費貸借契約が結ばれます。
借主側は預かった仮想通貨を運用して増やしたり、他の事業に活用したりして収益を狙います。そして、満期になったら貸主に元本+利息が返却されます。
利息は預けた仮想通貨で得られ、その仮想通貨を日本円へ売却することで利益が確定するという流れです。
仮想通貨を預けるレンディング業者は基本的に企業になりますが、海外には個人間同士で仮想通貨の貸し借りができるレンディングプラットフォームもあります。
ただ、企業に預ける一般的なレンディングより複雑だったり個人間同士な故にリスクが高くなったりするので、まずは企業に預けるレンディングサービスの利用がよいでしょう。
仮想通貨レンディングの利率
サービス | 年率レンジ | 最長期間 | 取扱通貨 |
---|---|---|---|
貸とく | 最大約11% | 90日〜1年 | BTC ETH USDC USDT DAI |
Coincheckレンディング | 最大約5% | 1年 | Coincheckの取扱通貨すべて対応 |
GMOコインレンディング | 最大約10% | 1カ月〜1年 | 26通貨対応 |
bitFlyerレンディング | 約1%〜約3% | 182日 | BTC XRP |
BitLending | 最大約10% | 1カ月〜 | BTC USDC |
レンディングサービスは仮想通貨取引所が提供していることが多いですが、貸しとくやBitLendingなど、レンディングサービスのみ提供している専門業者の方が最大利回りは高くなっています。
レンディングの利息は預ける仮想通貨の需給バランスによって決まる部分が大きいです。
例えば仮想通貨市場が上昇相場になれば、仮想通貨を借りて取引したい人が増えるので、需要が増えて利息が高くなる傾向があります。
反対に市場が活発ではなくなると、利息は低くなるでしょう。
貸しとくは契約期間が毎月の初日から末日までの1ヵ月間となっているため、仮に利息が低下してレンディングするメリットが減ったり、売却したくなったりしたい際に解約しやすいのも特徴です。
毎月25日までにご連絡いただければ、翌月の5営業日以内に資産が返還されます。
レンディングとステーキングとの違い
レンディングとステーキングの違いは以下の通りです。
- レンディング:貸主が保有する仮想通貨を預け、借主がそれを運用して利益が生み、一部を利息として得られる
- ステーキング:ブロックチェーンのブロック生成に対する報酬を受け取る
どちらも保有する仮想通貨を預けて収益を得るというシステムですが、ステーキングは保有する仮想通貨をブロックチェーン上に預けることで報酬を得るシステムです。
比較項目 | レンディング | ステーキング |
---|---|---|
報酬の元手 | 貸付先の運用益 | ブロック生成報酬から分配 |
途中引き出し・キャンセル | 満期まで不可 | ロック期間終了後に解除できる |
想定年率 | 1%〜10%前後 | 4%〜15%前後 |
対応通貨 | BTCやステーブルコインなど | Pos銘柄 |
ステーキングはブロックチェーン上に仮想通貨を預けますが、Pos(Proof of Stake)というシステムを採用している仮想通貨が基本的に対象になっているので、ビットコインやステーブルコインは預けられません。
また、ステーキング業者がいるわけではないため、自分で手続きをすべて進める分レンディングより複雑です。
リスクについては、レンディングは最悪の場合借り手が預けた仮想通貨を返還しないままサービス終了したり、サービス自体がハッキングに遭い資産が減ったりするリスクがあります。
ステーキングはブロックチェーン上に預ける仕組みのため、借り手の信用リスクはレンディングより低いですが、ハッキングリスクは同様にあります。
どちらを利用するべきなのかは以下のように決めるのがおすすめです。
レンディングが向いている人 | ステーキングが向いている人 |
---|---|
ビットコインやステーブルコインを預けたい 仮想通貨の運用経験があまりない | ブロックチェーンや仮想通貨をある程度運用した経験がある Pos銘柄を多く保有している |
仮想通貨レンディングのメリット
仮想通貨レンディングを行うメリットは以下の通りです。
- 利回り収入を得られる
- トレードせずに資産を増やせる
- 現物保有より効率的に収益を生める
利回り収入を得られる
レンディングは、銀行預金を大幅に上回る年率である、5%〜10%が安定して受け取れる点がメリットです。
市況によって利回りは変動しますが、低くても3%程度は受け取れる傾向があります。
トレードせずに資産を増やせる
仮想通貨を増やすには基本的にトレードをする必要があります。そして、トレードで増やすにはチャートの動きや市場動向など、複雑な分析が必要です。
しかし、レンディングならトレードとは違い、売買に関するスキルが完全に不要で、放置するだけでOKです。
トレードに時間を割かずに資産を増やせるのはレンディングの大きなメリットです。
現物保有より効率的に収益を生める
取引所で買った仮想通貨をそのまま保有しているだけでは、仮想通貨が値上がりしても売却しない限りは利益になっていません。
しかし、レンディングすれば現物を保有しながら売却しない間に収益を産めます。長期投資で値上がりを期待しながら、保有している期間にも収益を発生させられるのはとても効率的です。
またステーキングとは違い、USDCやDAIなどのステーブルコインでも運用可能です。
ステーブルコインは値動きがほぼないので、価格下落リスクをほぼ0にして利息を受け取れます。
仮想通貨レンディングのデメリット
仮想通貨レンディングのデメリットは以下の通りです。
- 貸付・払い出しのタイミング制限
- 価格変動リスク
- 倒産・ハッキングリスク
貸付・払い出しのタイミング制限
レンディングは基本的に満期まで動かせないことが多く、途中で返してほしくなっても返せないケースが多いです。
そのため、レンディングしている仮想通貨の価格が暴落しても満期後までは損切りできないリスクがあります。
貸しとくの場合、返還申請を行った後は申請された資産は申請月の末日まで運用され、翌月の5営業日以内に返還されます。
価格変動リスク
預ける仮想通貨によっては、価格の下落で利息以外に損失が出る場合があります。
例えば、利息で年間1万円の収益が生まれても仮想通貨の価格が1万円以上下落すれば損益はマイナスになってしまいます。
しかしこのデメリットは、価値が一定であるステーブルコインをレンディングすれば避けられます。
そのため、これからレンディングしたい方はまずステーブルコインのレンディングがおすすめです。
倒産・ハッキングリスク
預けている会社が倒産したり、その会社が預かっている資産を入れているウォレットがハッキングされた場合、サービスによっては貸した資産が一切返ってこない可能性があります。
これはステーキングにも同様のリスクがあるので、レンディングに限ったことではありません。
貸しとくは消費貸借契約に基づいて、預けた仮想通貨と利息は必ず返還することを保証しています。
仮想通貨レンディングでどれだけ増える?シミュレーションと想定リターン
仮想通貨レンディングの一般的な利率は5%〜10%となっていますが、その利息を受け取れた場合、どの程度資産が増えるのか、簡単なシミュレーションを行います。
今回は、初期元本を10万円、50万円、100万円の3つに分けて1年後のシミュレーションをします。
初期元本 | 年率5%・1年後 | 年率10%・1年後 |
---|---|---|
100,000円相当 | 105,000円 | 110,000円 |
500,000円相当 | 525,000円 | 550,000円 |
1,000,000円相当 | 1,050,000円 | 1,100,000円 |
計算式は1日あたりの貸借料率が「年率 ÷ 365 × レンディング日数」で求められ、1日あたりの貸借料が「預ける仮想通貨の枚数 × 1日あたりの貸借料率」で求められます。
当然ですがレンディングは元本金額が多ければ多いほど短期で大きな収益を狙えます。
仮想通貨レンディングの金利比較(主要国内サービス)
仮想通貨レンディングサービスの金利比較表を作成しました。
今回はビットコインの金利を基準にして年率を比較しています。
サービス | BTC年率 (2025年4月時点) | 途中解約 | 最低貸出額 |
---|---|---|---|
貸しとく | 2.5% | 不可 | 0.06BTC |
Coincheck | 最大5% | 不可 | 1万円相当 |
GMOコイン | 最大10% | 可(手数料あり) | 0.01BTC |
bitFlyer | 最大3% | 不可 | 0.001BTC |
BitLending | 8% | プラン選択によって可 | 0.001BTC |
取引所が提供しているレンディングサービスは現状の年率ではなく最大年率で記載されている場合が多いため、常に最大年率を受け取れるかはわかりません。
一方で貸しとくやBitLendingなどのレンディング専門業者は、月次ごとに現在の年率を記載しているため、月単位での収益シミュレーションは行いやすいでしょう。
仮想通貨レンディングの税金について
仮想通貨レンディングを行った際の税金について、どのような仕組みになっているか解説します。
税区分について
レンディングの利息として受け取った仮想通貨は雑所得に区分されます。
利息として仮想通貨を受け取ると同時に、そのときの時価(価格)で計算された貸借料が課税の対象になります。
レンディングしていて返還された仮想通貨は、自分で購入したものであり売却しない限り利益が発生していないので、課税の対象にはなりません。
課税の対象になるのは利息分の利益です。
利益が増えれば増えるほど税率が上がっていき、レンディングだけで最大税率に到達することはほぼないですが、最大で55%(所得税45%+住民税10%)の税金がかかります。
確定申告はどこから必要?
給与所得者の場合、仮想通貨関連の雑所得合計が20万円を超えたら確定申告義務が生じます。
学生や主婦などで扶養されている方は、43万円以上の利益が出た時点で確定申告が必要です。
仮想通貨レンディング-まとめ
仮想通貨レンディングは、トレードの知識を必要とせず資産を増やせる運用方法です。
メリットとデメリットの両方がありますが、仮想通貨の長期投資を行っていて価格が下落しても当面の間は売る予定がない方は、利用して運用益を得るのもよいでしょう。
- 仮想通貨レンディングとは、仮想通貨を預けて利息収入を得る運方法法
- 現物を保有しながら運用収益を作れるのがメリット
- 価格変動リスクやハッキングリスクがあるのがデメリット
レンディングをこれから始めたい方は、価格変動リスクがほぼないステーブルコインのレンディングがおすすめです。
貸しとくでは、年率11%でステーブルコインのレンディングを行えます。