ビットコインキャッシュは近年ずっと最高値を更新せずに停滞しています。
なぜ価格が上がらないのか理由を分析し、今後の将来性を解説します。
ビットコインキャッシュに投資するべきか迷っている方はお読みください。
ビットコインキャッシュ(BCH)の価格が上がらない理由は?
ビットコインキャッシュの価格が上がらない理由は以下の3つです。
- 需要と取引量が足りない
- 流動性の低さで値動きが鈍る
- 開発ペースが落ちている
需要と取引量が足りない

ビットコインキャッシュの年間平均出来高は2021年比で約70%減少しました。取引量が減れば買い圧力も細り、価格が跳ねにくくなります。
特に2025年前半の回復局面でも主要取引所のビットコインキャッシュ取引高シェアは3%未満にとどまりました。暗号資産全体が盛り上がる時期でも「主役不在」となる構図が続いたのです。
さらに、現物ETFマネーはビットコインとイーサリアムに集中し、ビットコインキャッシュには波及しませんでした。ETFは機関投資家の資金導線のため、ここを逃すと資金が恒常的に入りにくくなります。
市場参加者が少ない状態では、短期トレーダーも「旨味が薄い」と判断し、出来高が細る負のスパイラルが生じます。
最後に、上位100アドレスが供給量の38%を保有している点も見逃せません。
大口が動かない限り、市場に流通するビットコインキャッシュは限られ、板の薄さを招いています。流動性のなさは後述のスプレッド拡大にも直結します。
流動性の低さで値動きが鈍る
流動性とは「買いたいときに買え、売りたいときに売れる状態」を指します。
ビットコインキャッシュの場合、2025年までに米系取引所で通貨ペアが削減され、板の厚みが大きく減りました。
その結果、わずかな成行注文でも価格が振れやすくなり、逆に大口は入りにくいという矛盾を抱えています。
また、分散型金融(DeFi)の主要舞台がEVM系チェーンへ移り、ビットコインキャッシュ上の流動性プールは乏しいままです。流動性マイニング報酬の原資が限られるため、利回り狙いの資金も寄りつきません。
日常的にビットコインキャッシュを動かすユースケースが不足していることも、流動性改善の足枷になっています。
スプレッドの拡大は裁定取引の機会を減らし、マーケットメイカーの収益性を悪化させます。
その結果、さらなる流動性撤退を招くという悪循環が続いているのが現状です。
開発ペースが落ちている
暗号資産の価値はコードとコミュニティで決まるとも言えます。
しかしビットコインキャッシュの主要GitHubリポジトリの月間コミット数は2021年平均19件から2025年上期平均8件へ減少しました。
開発者が離れると新機能追加が遅れ、話題性も低下します。
2023年5月のアップグレードで導入されたCashTokensはNFTやDeFiを実装できる仕様ですが、プロジェクト数は約30件で伸び悩みました。
優秀な開発者へのインセンティブ基金が不足しており、報酬面で他チェーンに劣後します。結果としてユーザーも「わざわざビットコインキャッシュを選ぶ理由がない」と感じやすい構図です。
開発停滞は「次の材料待ち」の期間を長くします。
価格が停滞するとハッシュレート—ネットワーク全体の計算能力—も下がり、マイナーが離脱しやすくなるため、セキュリティ面の懸念も浮上します。
ビットコインキャッシュ(BCH)の今後の将来性は?
ビットコインキャッシュの今後の将来性は以下の要因から決まると考えられます。
- マクロ経済とETF資金の行き先
- 競合チェーンとのシェア争い
- 決済ユースケースの行方
マクロ経済とETF資金の行き先
米国の利下げ観測や流動性供給は暗号資産全体に追い風ですが、2024〜25年のETF資金はビットコインとイーサリアムに集中しています。
ETFは「規制の壁」を越えて機関投資家を呼び込む装置であるため、ビットコインキャッシュが対象外のままだと構造的に資金シェアを取りづらい状況です。
とはいえ、マクロ環境の改善そのものは市場全体のリスク許容度を高めるため、今後アルトコインに資金が回る「セカンドラウンド」が訪れる可能性はあります。
ビットコインキャッシュが恩恵を受けるには、そのタイミングで目新しい成長ストーリーを示せるかどうかが鍵です。
加えて、米国以外の新興国でインフレヘッジ目的の暗号資産需要が高まっています。
本来、手数料が安いビットコインキャッシュは少額決済に向く特性があるため、ローカル決済インフラに食い込めれば新しい需要源となり得ます。
競合チェーンとの決済シェア争い
決済用途ではLightningNetworkを実装したビットコインや高速処理に強いSolanaが存在感を増しています
LightningNetworkとはビットコイン送金を瞬時かつ低手数料で実行できるレイヤー2技術のこと。
これに対しビットコインキャッシュはレイヤー1でブロックサイズを大きく取引手数料を抑えるアプローチですが、速度面の差別化が難しくなっています。
さらに、EVM互換を持つ主要チェーンはDeFiやNFTで厚いエコシステムを築き、TVL(預かり資産)を積み上げています。
一方、ビットコインキャッシュのサイドチェーン「smartBCH」はブリッジの流動性不足が障壁となり、資金流入が限定的です。
こうした中でビットコインキャッシュがシェアを回復するには、決済特化チェーンとして本人確認対応や法定通貨ブリッジを整備し、決済事業者に「扱いやすい」魅力を示す必要があります。
ただ、ビットコインキャッシュは他の仮想通貨と比較して価格が安定していないので、利用者側としては不安で決済の手数料が安くても使われない可能性もあるでしょう。
決済ユースケースの行方
決済ユースケースが伸び悩む理由の一つは規制強化です。
複数国で暗号決済事業者に対し厳格なAML/KYCを求める動きが進み、ビットコインキャッシュの「電子キャッシュ」ポジションが逆風にさらされています。AMLとは資金洗浄対策、KYCとは顧客確認のことです。
一方で、手数料1セント未満という優位性は依然健在です。小額送金やマイクロペイメント分野で実証実験が増えれば、実需が価格を底上げする可能性があります。
特に東南アジアや南米のフィンテック企業がBCH決済を導入すれば、話題性と取引量が同時に改善するシナリオも描けます。
規制適合と利便性を両立させる仕組みづくりが進めば、ビットコインキャッシュの決済ユースケースは復権し得ます。開発コミュニティがこの分野に資源を集中投下できるかがカギとなるでしょう。
ビットコインキャッシュは将来性がない?は本当なのか
ビットコインキャッシュの将来性はないと言われますが、本当なのか以下の点から解説します。
- 決済通貨としての価値があるのか
- 新プロジェクト拡大の可能性
決済通貨としての価値があるのか
ビットコインが価値保存手段に比重を移す中、ビットコインキャッシュは「日常決済への適用」を掲げ続けています。
ブロックサイズの拡張により1ブロック当たりの取引処理能力を高め、手数料を抑える構造は電子キャッシュに適した設計です。
低手数料は新興国や高手数料の国際送金市場でメリットが際立ちます。
国境を越えた少額送金のコスト削減は、多くの労働移民やフリーランサーにとって切実なニーズです。この分野で実用例を積み上げれば、市場の見方は変わり得ます。
ただし、実際の採用には規制適合とユーザー体験の簡素化が欠かせません。特にウォレットのKYC統合や法定通貨オン/オフランプの整備が進むかどうかが、意義を実需に転換できるかの分岐点になります。
新プロジェクト拡大の可能性
CashTokens拡張によってビットコインキャッシュでもNFTやDeFiが可能になりました。
NFTとは代替不可能なトークンで、デジタル所有権を表します。
しかし現状のプロジェクト数は約30件で頭打ちです。ここを拡大するには、インキュベーションプログラムや開発者報酬プールを整備し、他チェーンから人材を呼び込む戦略が求められます。
また、リアルワールドアセット(RWA)のトークン化にビットコインキャッシュを活用する構想もあります。
RWAとは株式や不動産など実資産をトークン化し、ブロックチェーン上で取引できる仕組みです。
取引手数料の低さはRWA決済との相性が良いため、これが実装されれば新たなユースケースと手数料収入を開拓できます。
さらに、smartBCHのEVM互換強化が実現すれば、既存のSolidity開発者を取り込める余地があります。ブリッジ問題を解消し、TVLを伸ばせるかが成功のポイントです。
ビットコインキャッシュ(BCH)の価格予想【2025年】
ビットコインキャッシュの価格予想を解説します。
- 最近の価格レンジと出来高
- 半減期後のパフォーマンス比較
- 2025年末の上値・下値シナリオ
最近の価格レンジと出来高
ビットコインキャッシュは2024年末から2025年7月2日まで400〜550USDで推移し、年初来リターンは約+6%どまりです。
最大値は6月末の525USDで、2021年5月高値1,600USD超には遠く及びません。出来高は依然として低調で、上値追いのエネルギーに欠ける状況です。
ボラティリティが低下傾向にあるため、短期トレーダーが離れる一方で長期保有者比率はじわりと増加しています。ホールドインセンティブが限定的なBCHにとって、出来高の薄さは価格予想の難易度を高める要因です。
こうしたレンジ相場では、ブレイクアウトの契機となる「外部ショック」や「大型アップグレード」がない限り、方向感が出づらいことを念頭に置く必要があります。
半減期後のパフォーマンス比較
過去2回の半減期(2020-04-08・2024-04-04)でビットコインキャッシュは短期的にボラティリティが上昇しましたが、中長期の上昇トレンドには直結しませんでした。
2024年半減期後60日間の騰落率は+4%で、同期間のBTC+18%と比べて見劣りします。
半減期とはブロック生成報酬が半分になるイベントのことです。
ビットコインやビットコインキャッシュでは、4年に1度行われます。
ビットコインの半減期とは?なぜ価格が上がるのか、どう投資すれば儲かるか解説
理論上は供給ショックで価格上昇要因になりますが、ビットコインキャッシュでは「需要不足」が供給減少効果を打ち消した形です。
供給要因よりも取引高シェアや新規資金流入が価格に与える影響が大きいといえます。
したがって、2025年下期に向けても半減期単独で大きな価格押し上げを期待するのは現実的ではなく、需要喚起策の進捗が注目ポイントになります。
2025年末のシナリオ分析
以下にビットコインキャッシュの2025年末のシナリオ別の想定レンジを示します。
以下の表は上値・下値の価格帯を整理したものです。
シナリオ | 想定要因 | 上値 | 下値 |
---|---|---|---|
強気 | ・開発資金拡充 ・RWA実装本格化 ・新興国決済採用 | 900USD | 600USD |
中立 | ・マクロ改善のみ進展 ・流動性小幅回復 | 700USD | 450USD |
弱気 | ・流動性縮小継続 ・マイナー離脱 | 550USD | 320USD |
強気シナリオでは、CashTokens拡張と決済採用が同時に進むことで出来高が回復し、価格が900USD付近まで上伸する可能性があります。
中立シナリオではマクロ環境の追い風はあるものの、エコシステム拡充が遅れ、700USDが上値の目安となります。弱気シナリオでは流動性不足とマイナー離脱が加速し、コストカット売りが320USDまで進むリスクも想定されます。
ビットコインキャッシュ(BCH)の将来性についてよくある質問
- ビットコインキャッシュ以外に低リスクで稼げる方法はある?
- ビットコインキャッシュの半減期は価格にどう影響する?
- 今からビットコインキャッシュに投資するメリットとリスクは?
- 流動性がないとどんな影響がある?
- ビットコインキャッシュではなく他の仮想通貨に投資するべき?
ビットコインキャッシュ以外に低リスクで稼げる方法はある?
ビットコインキャッシュより低リスクで稼ぐ方法は仮想通貨レンディングです。
レンディングは、仮想通貨をレンディング業者に一定期間預けることで、利回り報酬がもらえます。
柴犬コインは今から投資しても10倍や100倍のリターンが狙える可能性は低く、ミームコインである以上ボラティリティが高く高リスクです。
しかし、仮想通貨レンディングであればレンディングであれば価格変動がほぼない仮想通貨を預けることができるため、低リスクで利回り収入を受け取れます。
仮想通貨レンディングの詳細ややり方は以下の記事で解説しているので、あわせてお読みください。
仮想通貨レンディングとは?メリットやリスク、どれだけ増えるのかを解説!
ビットコインキャッシュの半減期は価格にどう影響する?
ビットコインキャッシュの半減期は、短期的には取引が活発化し、ボラティリティが高まる傾向があります。
しかし供給ショックよりも実需と資金流入が価格決定要因として強いため、中長期では半減期単独で大幅な上昇を期待するのは難しいのが実情です。
今からビットコインキャッシュに投資するメリットとリスクは?
今からビットコインキャッシュに投資するメリットは手数料が安く、決済ユースケースが拡大すれば再評価余地がある点です。
リスクは流動性不足と開発停滞に伴う需要低迷です。資金配分を小さくし、長期目線で実需拡大を待つスタンスが推奨されます。今のところはリスクの方が大きいでしょう。
流動性がないとどんな影響がある?
スプレッドが広がり、大口取引のコストが増えます。
その結果、機関投資家が参入しづらくなり、市場規模がさらに縮小する悪循環が起きます。
また、価格変動が局所的な注文で大きく振れやすくなるため、安定した価格形成が難しくなります。
ビットコインキャッシュではなく他の仮想通貨に投資するべき?
長期投資で低リスクな仮想通貨投資をしたい場合は、ビットコインやイーサリアムに投資するのがベストでしょう。
それぞれの将来性を知りたい方は以下の記事をお読みください。