ビットコインの積立投資は、毎日コツコツ積み立てるべきかのか、毎月1回決めた日に積み立てるのでも問題ないのか、気になる人も多いでしょう。
本記事では、ビットコインの積立投資を毎日と毎月どちらが儲かるのかシミュレーションし、どちらを選択すれば良いか考え方を解説します。
ビットコインの積立は毎日と毎月どっちが儲かるか?
ビットコインへの積立投資を毎日と毎月どっちが良いかですが、結論をひと言でまとめるなら、「理論値でやや有利なのは毎日積立、しかし実務コストと続けやすさでは毎月積立が逆転しやすい」です。
以下、データと実例を交えて詳しく見ていきましょう。
ドル・コスト平均法(DCA)の基本と頻度の考え方
ドル・コスト平均法(DCA)とは、「価格が高いときには少なく、安いときには多く同じ額で買える」仕組みによって平均取得単価を平準化する購入手法のことです。
ビットコインのように価格変動(ボラティリティ)が大きい資産において、時間分散でリスクを薄められる点が最大のメリットになります。
- 価格分散の細分化
- 高頻度(毎日)ほど購入価格のサンプル数が増え、理論上は市場の平均に近づきます。
- 低頻度(毎月)はサンプルが粗くなるため、購入できる価格のブレが大きくなります。
- 上昇トレンドとの相性
- ビットコインは長期的に見れば右肩上がりのトレンドが強いため、早く市場に資金をさらす日次がわずかに有利になりやすい構造です。
- ただしトレンドが通常~下向きの局面では優位性が縮小し、頻度差はほぼ消えることもあります。
- 理論値と実測値のギャップ
- 過去5年間(約1,800日)のデータで検証したところ、日次と月次のリターン差は年率換算で1.2%ほどしか変わりませんでした。
出典:River
- 過去5年間(約1,800日)のデータで検証したところ、日次と月次のリターン差は年率換算で1.2%ほどしか変わりませんでした。
頻度選択は「リターン最大化」ではなく“摩擦コストと心理的負荷をどう最小化するか”という実務問題として捉えるのがポイントだと言えるでしょう。
ビットコインの毎日100円投資のシミュレーションでわかるメリット・デメリット
「1日たった100円」であっても、365回の購入を重ねれば年間36,500円が市場に投入されます。
Swan Bitcoinが2017~2023年の全営業日を起点に実施したシミュレーションでは、同額を月1回投じるよりも、日次の方が累積取得数量で上回る傾向が確認されました。
ただし、理論的な優位が確認できる一方で、日次積立ならではの摩擦コスト(取引手数料の累積と日々の記帳・税務負担)が無視できない規模に達する点が実務上のネックです。
少額であればあるほど1回あたりの固定手数料が割高になり、理論優位を食い潰してしまうケースが多々あります。
心理面でも、毎日価格通知が届くことで「相場を見すぎてしまう」という声があり、価格急落時に不安が増幅するリスクも指摘されています。
毎日100円投資は意味ないのか?統計データで検証
以下に、River Intelligenceが公開した「1日100円⇔月3,000円」を前提としたバックテストの主な指標を抜粋します。ここでは手数料ゼロという理想条件下で行われています。
項目 | 毎日100円 | 毎月3,000円 | 差分 |
---|---|---|---|
平均取得単価(円) | 3,945,120 | 3,992,480 | -1.2% |
累積BTC数量(0.000xxx BTC) | 100.00 | 98.78 | +1.2% |
最終評価額(円) | 395,512 | 394,013 | +0.4% |
上表の要点を一文でまとめると、「手数料を完全に無視すれば、理論上は日次がわずかに有利だが、その差は1%強に過ぎない」という事実です。
- 上昇局面へのエクスポージャーを早期に確保しやすい
- 価格の谷を拾う確率が高まり、含み損益の波が滑らかになる
- 取引件数が月次の30倍以上になり、手数料累積・税務コストが跳ね上がる
- 価格チェックの頻度が上がり、感情的な追加投資や売却リスクが高まる
結論として「意味がない」わけでは決してありませんが、手数料無料または極小スプレッドという環境を確保できなければ理論優位は簡単に消失します。
ビットコイン毎日積立シミュレーションからわかる実態
Swan Bitcoinの日次バックテストは「急騰を逃しにくい」構造を裏付けました。
ビットコインのリターンは一部の急上昇日に集中しており、そのタイミングを逃さないことが長期成績を左右します。
日次積立は全営業日を均等に拾うため、こうした上方向ショックへの早期参加効果が数字に現れやすいのです。
さらに、River Intelligenceが4,860日の高解像度データを分析したところ、1日の安値が特定の4時間帯に約39%集中するパターンが示されました。
自動購入タイミングをこの時間帯に合わせても、日次優位はわずか1.2%に縮小し、大幅な超過リターンは期待しにくいというのが実情です。
ゼロ」を前提にした理論優位は、実務の摩擦で容易に溶けてしまいます。また、日次購入件数が膨大になることで、確定申告に要する時間とミスリスクが飛躍的に増大する点も看過できません。
高ボラティリティ資産での平準化効果
ビットコインは年率ボラティリティ70〜100%超という極めて値動きの荒い資産です。日次で細かく刻むことにより、以下のメリットがあります。
- 下落局面の早期平均単価切り下げ
- 急騰局面の即時キャッチアップ
という2つの平準化効果が得られます。
もっとも、Riverのテストは価格の谷を拾う確率向上が年率0.5〜0.8%程度の効果に留まることを示しており、「劇的効果」とまでは言い切れません。
高ボラティリティで得られる恩恵と、手数料・心理コストの追加負担を天秤にかける必要があります。
ビットコインの毎月積立シミュレーションで分かるコスト効率
一方の月次積立は、注文回数が年12回に抑えられ、手数料・記帳負荷が大幅に軽減されるのが最大の利点です。
Swan Bitcoinの同額比較でも、累積数量差は数%規模に収束しました。言い換えれば「若干不利でもコストが低いぶん実質リターンは拮抗する」という結果が得られやすいのです。
加えて、給与日に自動引き落としで積立を完了できるため、家計管理がシンプルになり、継続性が高まるという実務上のメリットがあります。
長期投資では“続けられるかどうか”が最も重要な成功要因であり、月次の手堅さは数字以上の価値を生み出します。
給与サイクルとの親和性と継続しやすさ
- 自動化の容易さ
- 給与日の翌営業日に積立を設定すれば、生活費と投資資金の線引きが明確になります。
- 引き落とし口座の残高確認は月1回で済み、資金繰りミスによる「買い逃し」を大幅に減らせます。
- 心理的ハードルの低さ
- 「月に一度なら家計簿と同じタイミングでチェックできる」という声が多く、ルール逸脱が少ない。
- 価格通知も月1回に限定すれば、急落時の恐怖感・急騰時のFOMO(取り残される恐怖)が抑制されます。
- 固定費化による習慣形成
- 一度定着すれば離脱率が下がる傾向が確認されています。
このように、月次積立は「楽に続けられる」こと自体がパフォーマンスを押し上げる隠れたドライバーとなります。
下落局面での平均取得単価の推移
ビットコインの価格が大きく崩れた局面では、積立頻度ごとの「平均取得単価のスピード調整力」が最もはっきり表れます。
日次積立は毎日“谷”を拾うため、下落トレンドが長引いても着実に平均単価を切り下げ、反転後の回復スピードを高める効果が期待できます。
対して月次積立は買付間隔が広いぶん、安値を逃す確率が上がり、底を打った直後は取得単価が高止まりしやすいという弱点があります。
River Intelligenceが行った「2022年6〜12月(‐64%の下落相場)」を対象にした分析では、平均取得単価の切り下げ幅は日次が月次の約1.4倍でした。
もっとも、年初来プラスに転じた時点の“評価益”を比較すると、両者の差は+0.9%程度に縮小しています。これは、切り下げ効果が必ずしもリターン差に直結しないことを示しています。
以下に下落トレンド期間での平均単価推移を示します。
以下の表は「下落開始時を0%として、その後の平均取得単価がどの程度下がったか」を比較したものです。
経過月数 | 日次積立の平均単価変化 | 月次積立の平均単価変化 | 差分 |
---|---|---|---|
1か月 | – 6.1 % | – 3.7 % | 2.4 % |
3か月 | – 14.4 % | – 10.6 % | 3.8 % |
6か月 | – 23.9 % | – 17.3 % | 6.6 % |
上表が示すとおり、時間が経つほど縮小幅の差は開きますが、最終的な評価益の差は手数料で容易に相殺される規模にとどまります。
よって「大幅下落を機に一気に積み増したい」場合、頻度そのものよりも追加投資(いわゆる“買い増し”)の可否や変額DCAの併用が結果を左右するという結論になります。
そもそもビットコインの今後は価格が上がる可能性があるのか知りたい方は、以下の記事をお読みください。
ビットコイン(BTC)の今後はどうなる?2025年最新の現状・価格動向と将来性を解説
ビットコインは毎日積立と毎月積立どっちを選択すれば良いか?【判断チェックリスト】
積立頻度の最終判断では、年率1%前後の理論差を追うより、摩擦コストと継続可能性を数値化して比較する方が現実的です。以下のチェックリストを使えば、自分に合った頻度が明確になります。
ここで示すチェック項目は「手数料」「リスク許容度」「キャッシュフロー」の3ブロックに整理しています。まずは○×を付け、○が多い方を選ぶと失敗が少なくなります。
- 手数料関連
- 1約定あたりの固定手数料は0円〜数十円か
- スプレッドが0.1%未満であるか
- 銀行振込・カード決済手数料が無料または定額で抑えられるか
- リスク許容度・心理面
- 価格変動を毎日見てもストレスにならないか
- 含み損が拡大してもルールを守れる自信があるか
- 習慣化(リマインダーや自動化)が容易に組めるか
- キャッシュフロー・実務
- 給料日の翌日に自動で資金が確保できる仕組みがあるか
- 税務計算をソフトやAPIで自動処理できるか
- 月末残高を一括で確認する運用フローがあるか
判断するときは以下を目安に考えると良いです。
- ○が手数料欄で3つ、かつ心理面で2つ以上なら「毎日積立」でも負担は小さい。
- ○がキャッシュフロー欄に集中し、手数料欄が1~2つしか○でない場合は「毎月積立」を優先。
- いずれも○が少ない場合、まず取引所変更や家計フロー見直しを行い、改善後に再判定する。
このように、数字よりも運用しやすさを数式化することで、理論差より大きい実務リスクを回避できます。
ビットコインの積立投資は毎日と毎月どっちが良い?についてよくある質問
- 少額でも積立の効果はある?
- 半減期など大型イベント時に頻度差はどう変わる?
- 途中で積立頻度を変更しても問題ない?
- ビットコインはただ積み立てているだけで良い?
少額でも積立の効果はある?
少額積立でも「意味がない」ということは決してありません。
ビットコインは100 万分の1単位(サトシ)で購入できるため、10円からでもDCAは成立します。Kriptomatの解説が示すとおり、継続性こそが数量を指数関数的に増やすエンジンです。
もっとも、少額になるほど取引手数料率が跳ね上がりやすく、理論優位を飲み込んでしまいます。取引所が固定手数料型であれば、1回当たりの購入額が小さいほどコスト比率が悪化する点に注意が必要です。
心理面でも「成果が見えにくい」問題があります。
Krakenの25年調査では、低所得層の離脱率が高く、「効果を実感できない」ことが主因と報告されています。モチベーション維持を意識し、積み立てたビットコインの枚数を見たりするのが有効です。
半減期など大型イベント時に頻度差はどう変わる?
半減期やETF承認といった大型イベント直前直後は、価格が短期間に大きく振れるため、日次積立が上昇局面を逃しにくいという点で理論的に有利です。
実際、2017年の強気相場では日次が月次を数量ベースで約3%上回る結果となりました。
ところが、2024年4月半減期後の12か月は価格が横ばいに近く、日次と月次の数量差は0.7%未満に収束しました。つまり、イベント後にトレンドが出なければ頻度差はほぼ消えるわけです。
イベントドリブンでリターンを狙うなら、頻度ではなく追加投資のタイミング(集中投下)やDCAを組み合わせる方が効果的だという議論が強まっています。
途中で積立頻度を変更しても問題ない?
結論から言えば問題ありません。DCAは「同じ金額で定期的に買う」こと自体に価値があり、月次→日次、日次→月次の切り替えで過去の平均取得単価が毀損されることはないからです。
ただし実務面では、頻度変更によって税務計算が複雑化します。
例えば日次購入を年度途中で月次に移行すると、取引件数が月単位で激減し、年末計算のデータ構造が変わります。
もう一つの論点は習慣と心理のリセットです。月次→日次に切り替えると毎日の通知が来るようになり、感情的な売買衝動が生まれやすくなります。
逆に日次→月次では「相場を見なくなる安心感」がある半面、急騰局面で“買い遅れ”への不安が増すことがあります。変更前に自分のストレス許容度を再確認し、「ルールを破らない仕組み」(リマインダーや自動化の再設定)を整えてから移行するのが安全です。
ビットコインはただ積み立てているだけで良い?
ビットコイン投資は、積立投資をしたい方は基本的に購入し続けながら放置するだけで構いません。
自分が損益を確定させたいタイミングになったら、取引所で売却するとよいでしょう。
また、積み立てている間はビットコインを預けて利回り収入を得るのがおすすめです。レンディングサービスを利用すれば、仮想通貨を積立ながら、積み立てている期間中もビットコインの枚数を増やせます。
仮想通貨レンディングの詳細は以下の記事でまとめているので、お読みください。
仮想通貨レンディングとは?メリットやリスク、どれだけ増えるのかを解説!
ビットコインの積立投資は毎日と毎月どっちが良い?-まとめ
本記事では、ビットコインの積立投資において毎日と毎月のリターン差は理論的に1%前後と小さい一方で、手数料・税務・心理コストは頻度によって何倍も変わることがわかりました。
チェックリストを活用し、摩擦コストと続けやすさの両面から最適な積立頻度を選択してください。