ビットコインとイーサリアムはどっちを買うべきか比較されることが多い銘柄です。
そこで本記事では、投資戦略や将来性などからどっちを買うべきなのか解説します。
- ビットコインとイーサリアムを長期投資目線で比較し、低リスク派・高リスク派それぞれに合った選択肢がわかる
- 10万円をビットコインかイーサリアムで運用するときの考え方と、ポートフォリオ比率決定のコツが理解できる
- ビットコインとイーサリアムの基本情報を一目で比較できる
- ビットコインとイーサリアムの将来性に影響を与える要素を把握できる
長期投資目線で低リスクならビットコイン
長期投資で低リスクならビットコインがおすすめです。理由は以下の通りです。
- インフレ抑制の仕組みで価値が保たれる
- ETFによって継続的な買い圧がある
インフレ抑制の仕組みで価値が担保される
ビットコインは、供給量が上限2,100万枚で固定されており、法定通貨のように無制限に刷られません。
インフレが抑制されており、通貨としての機能は円やドルの法定通貨より健全。4年ごとに「半減期」があり、新しく作られるビットコインの数が減っていくのでインフレ率が下がっていく構造になっています。
ETFによって継続的な買い圧がある
また、スポットETFの上場で機関投資家マネーが継続的に流入している点でイーサリアムよりリスクが低いです。
2024年1月10日に米国におけるビットコインのETF(上場投資信託)が承認され、既存の機関投資家向けファンドがビットコインを含めた投資信託を公開し始めました(それ以前は取引所から購入するしかありませんでした)。
これにより機関投資家からの大規模な資金流入が増えており、多い日は一日で9億ドル(1270億円)越えの資金流入が起きています。
ビットコインの市場流通量の約5.8%は、このETFを通じて購入されており、「買う手段」がそもそも増えたことによって継続的な買い圧になっています。
長期投資目線で高リスク高リターンを目指すならイーサリアム
3~5年の長期目線で、ハイリスクハイリターンを求めるならイーサリアムがおススメです。
- Dapp需要はなくなったが重要度は変わらず高い
- 手数料の一部をバーンしてインフレ抑制している
Dapp需要はなくなったが重要度は変わらず高い
スマートコントラクトという“分散アプリの土台”を提供し、dApp需要が期待されていたチェーンであり、実際にその需要は2022年までは高かったです。
現在はArbitrum等の「レイヤー2チェーン」と呼ばれるブロックチェーンにその役目を引き継ぎ、イーサリアムはこれらのレイヤー2チェーンのための”土台”として使用されています。重要性という観点では変わっていません。
手数料の一部をバーンしてインフレ抑制している
イーサリアムには発行上限はないものの、手数料の一部をバーン(焼却)する仕組みで実質インフレ率は1%前後になっています。
より実需がある時はイーサリアムが増える量より焼却される量のほうが増え、デフレ状態になる場合もあり、デフレ状態では緩やかなインフレをするビットコインより健全だという意見もあります。
もし10万円しかなかったら、ビットコインとイーサリアムどっちを買うべきか?
結論としては、どちらを買う、という決め方ではなく、ご自身の「リスク許容度(価値がゼロになってもいいと思える量)」で決めるべきです。
仮想通貨はボラティリティ(価値の変動率)が非常に高い銘柄です。金額の大小は関係なく、買った本人が値動きに対してどれだけ耐えられるかで決めましょう。
低ボラ志向 | 高ボラ志向 | |
判断軸 | ビットコイン | イーサリアム |
1年変動率の目安 | ±40%前後 | ±60%前後 |
心理的負担 | 株式インデックス投資に近い | 新興株・グロース株投資に近い |
どちらも、1日で10%以上変動する可能性があります。株式やその他の投資資産に比べるとかなり変動しやすいです。
価格下落局面でも、レンディング利息が入れば、含み損を緩和できる可能性があります。調子が良い時には追加収入にもなります。
仮想通貨レンディングとは?メリットやリスク、どれだけ増えるのかを解説!
ビットコインとイーサリアムの違いとは?
ビットコインとイーサリアムを比較するために、特徴、時価総額、目的、インフレ対策の観点で違いをそれぞれ見てみましょう。
ビットコインの特徴
- ブロック生成は約10分。確定は遅いがセキュリティと分散度が極めて高く安全
- 価格については、サイクルごとに高値を更新しており、長期で右肩上がりを続けている
イーサリアムに比べると、より不便だがその分安全であり、価格上昇も堅実になっていると言えますね。
イーサリアムの特徴
- ブロック生成は約12秒。決済スピードが速く、DeFiやNFT取引のプラットフォーム
- 2024年「Dencun」アップデートでロールアップ手数料が最大90%削減され、利用コストが低下
- 価格については、ここ最近はかなり落ち着いているが、3〜5年スパンで見た場合、アップグレードの効果で価格上昇ポテンシャルは高い
ビットコインと比べると、アップデートを重ねどんどん便利にはなっていくことが予想されますが、ここ最近の価格は下がっており、今後のアップデートでまた価値が上がる可能性を期待する必要があります。
価格と時価総額
項目 | ビットコイン | イーサリアム |
時価総額(2025年4月) | 約1.69兆ドル | 約0.19兆ドル |
価格(同日) | 約85,000 USD | 約1,600 USD |
市場ドミナンス(※) | 約64% | 約7% |
イーサリアムはビットコインの値動きに“遅れて大きく”反応する傾向があり、市場が弱い時はビットコインの後に大きく下がり、良い時が来ればビットコインの後に続いて大きく上がるようなケースが多いです。
市場ドミナンス:特定の通貨が市場全体の時価総額に占める割合。つまり、仮想通貨市場の64%はビットコインが占めているということ。
目的(決済・通貨 vs プラットフォーム)
ビットコインは、“価値の保存と決済”にフォーカスした純粋なデジタル通貨です。
コンピュータができて以来の一大テーマである、「インターネット上でお金を作ることはできるか?(価値を保存できるか?)」という長年の問いを「できる」に変えた世紀の発明だという人もいます。
これに対しイーサリアムは、 “分散アプリの土台”として機能し、チェーン上で新規トークンやNFTを発行できます。
ビットコインを参考に、よりこの仕組みをうまく活用できないか?と考えられた結果、アプケーションの土台として活用する方法が考えられ、現在の暗号通貨の主流な仕組みとなっています。
発行上限とインフレ対策
発行上限とインフレ対策は、通貨、つまり投資対象としての健全性に大きく関わる要素です。
簡単にいえば、インフレする(価値がそのまま、お金の枚数だけが増え続ける)と、1枚当たりのお金の価値が薄まり、価値が下がっていきます。なので、ビットコインやイーサリアムなどにはインフレを抑制するメカニズムが組み込まれています。
通貨 | 発行上限 | インフレ抑制メカニズム |
ビットコイン(BTC) | 2100万枚 | 4年ごとに新規供給が50%づつ減っていく(実質インフレ率低下) |
イーサリアム(ETH) | 上限なし | 使用された際の手数料の何割かを焼却して供給量を相殺し実質インフレ率を1%前後に縮小 |
ビットコイン投資とイーサリアム投資に向いている人・向いていない人
ビットコイン投資とイーサリアム投資、それぞれに向いている人と向いていない人をまとめてみました。
- これから仮想通貨投資を始める人
- 他資産との相関が低い“デジタルゴールド”を長期保有したい
- レンディングで年1〜3%の利息を地道に積み上げたい
- 値動きを毎日チェックせず放置運用したい
- 短期間で資産5倍以上を狙いたい
- 仮想通貨を海外送金等で実際に利用したい
ビットコイン投資は仮想通貨の中では安定しているので、仮想通貨初心者向きであり、放置運用したい人におすすめです。
しかし、実際に送金の手段として利用するには、10分以上はかかることを考えるとイーサリアム等のほうが便利ではありますね。
イーサリアム投資が向いている人・向いていない人
- Web3・NFT・DeFiなど成長業界と一緒に値上がり益を狙いたい
- 最悪元手がゼロになってもいいのでハイリスク・ハイリターンを狙いたい
- 機会があればNFTやDeFiに触れてみたい
- 価格が下がった時に精神的ダメージを受けやすい
- 安定志向
イーサリアムはよりハイリスクハイリターンな通貨ですが、ビットコインではできないDefiやNFTの存在もあり、実際に利用する可能性も考えている人はこちらのほうが向いているかもしれません。
反面、値動きは大きいので安定志向の人には向いていないと言えるでしょう。
どちらも株や為替に比べると短期的に大きく変動する銘柄ではあるのですが、その中でも安定志向かどうかで向き不向きが別れます。
ビットコインとイーサリアムの将来性はどっちが優れている?
ビットコインの将来性
2024年4月の半減期で年間供給増が約1%台まで減少
2024年4月20日に実施された第4回めの半減期イベントにより、年間の新規供給量が大幅に減少し、ビットコインのインフレ率は約0.83%と、金よりもインフレしない資産となりました。
スポットETFへの純資金流入が続き、需給バランスはタイト化
2024年1月に米国で承認されたビットコイン現物ETFは、2025年4月時点で累計3,033億ドルの資金流入を記録しており、このETFの需要増加が供給制限と相まって、価格上昇の圧力となっています。今後もETFへの流入量はチェックすべきでしょう。
中央銀行が利下げ局面に入ると、安全資産として再評価されやすい
米国の金融政策が利下げ方向に転じると、インフレヘッジや安全資産としてのビットコインの魅力が再評価されやすくなります。世界情勢(特に米国の情勢)によっては相当数な買い圧力が生まれるかもしれません。
ビットコインの今後の将来性については、以下の記事で詳しく解説しています。
ビットコイン(BTC)の今後はどうなる?2025年最新の現状・価格動向と将来性を解説
イーサリアムの将来性
現在の課題:L2の普及による実需の減少
2024年の「Dencun」アップグレードにより、レイヤー2(L2)ソリューションの取引手数料が大幅に削減されました。しかし、これによりメインネットでのガス代収入が減少し、ETHのバーン量が減少した結果、ネットワークは再びインフレ傾向に転じています。この状況が、ETHの価格上昇を抑制する要因となっているとの分析があります。
今後のアップグレードによる機能改善
2025年5月に予定されている「Pectra」アップグレードでは、スケーラビリティの向上やステーキング報酬の最適化が図られる予定です。これにより、ETHの供給抑制やネットワークの効率性が改善され、価格上昇の要因となる可能性があります。
このようにイーサリアムは定期的に大きなアップグレードを行っており、今後発表されるアップグレードによっては、再度注目を浴びる可能性は高いです。
3~4年の長期スパンで価格上昇の可能性
将来のアップデートも鑑みれば、ETHの価格は2025年から2027年にかけて5,000〜7,000ドルの範囲で上下する可能性が高く、2030年までには10,000$(Deltec Bank)、15,000$(Morgan Stanley)を超えるだろうとの予測もあります。いずれにせよ、大きな上昇幅を狙うなら長期目線がよさそうです。
ビットコインとイーサリアムは、それぞれ異なる特性と成長要因を持ちながら、暗号資産市場において重要な役割を果たしています。
ビットコインとイーサリアムの両方を買うのはあり?
ビットコインとイーサリアムの両方買うのはもちろんアリですが、どちらも短期的な価格の変動率が高く似たような性質の資産であることに加えて、イーサリアムはビットコインに釣られて動くといった性質があるので、あまり分散投資の意味は少なめです。
ビットコインは安定志向、イーサリアムはよりハイリスクハイリターンであることを認識した上で、少額ならどっちかに偏っていても問題ないでしょう。
ビットコインとイーサリアム、どっちを買うか?に関するよくある質問
- 仮想通貨投資はいくらから始めるのが安全か?
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(例)まずは生活費6か月分の現金を別途確保し、残った余剰資金の10〜20%以内から。最低購入額は国内取引所なら1,000円程度。
- 分散投資する場合、ビットコインとイーサリアムの比率は?
-
安定重視ならBTC70:ETH30、成長重視ならBTC40:ETH60。毎月積立をやるのもおすすめ。
ビットコインとイーサリアム、どっちを買うべき?-まとめ
ビットコインとイーサリアムを買うならどっちがいい?という疑問について、安定志向であればビットコイン、成長志向・ハイリスクハイリターンを求めるならイーサリアムだという結論になります。
ビットコインは「固定供給×ETF資金流入」で堅実な価値保存手段となり、イーサリアムは「スマートコントラクトプラットフォーム×今後の大アップデート」で今後の高成長が期待できます。
また、少額からでもレンディングを活用すれば、価格上昇益+利息収入の相乗効果を狙えます。自分のリスク許容度を見極め、長期でゆるやかに資産を増やしていきましょう。