仮想通貨レンディングの税金概要や確定申告のやり方を解説!

仮想通貨レンディングの税金

仮想通貨レンディングは「預けるだけで資産が増える」という手軽さが魅力ですが、実際に得られる利益を手取りで考えるには、税金の仕組みを正確に理解することが欠かせません。

本記事では、暗号資産の税制を初めて学ぶ方でも追い付けるよう、国税庁FAQなどを踏まえて解説します。

前半では税金の基本構造と課税タイミング、確定申告のステップ、そしてレンディングそのものの仕組みを総整理し、後半でステーキングとの違いや将来の改正動向、帳簿付けの実務まで掘り下げます。まずは税額計算の基礎から見ていきましょう。

目次

仮想通貨レンディングの税金計算をまず把握しよう

仮想通貨レンディングで最初に押さえるべきは「どの所得区分に当たるか」と「適用税率がどう決まるか」です。ここを誤ると、後で修正申告や追徴課税の手間が発生しますので、初学者ほど慎重に確認しましょう。

雑所得と事業所得の判定基準

個人がレンディングで得る利息は原則として雑所得に分類されます。雑所得とは、公的年金や副業収入など他の所得類型に該当しない幅広い収入をまとめた区分です。

雑所得に分類されるケース
  • 年間利息が概ね300万円以下
  • レンディング以外の本業が別にある

これらの場合、基本的に雑所得として税金計算を行うことになります。ほとんどの場合はこちらの区分になるでしょう。

しかし、長期でかつ大規模にレンディングを行っている際、レンディングの利息を事業所得として扱い、事業所得の税金処理を当てはめることも可能です。以下のようなケースだと、事業所得として扱える可能性が高いです。

事業所得として扱える可能性が高いケース
  • レンディング利息が年間300万円超かつ複数年継続
  • 事業用口座・帳簿を分離して運用
  • 事業計画書や資金繰り表を備えている

事業計画書について、税務署は「営利性」「継続性」「独立性」を重視して事業か否かを判定します。趣味投資の延長では事業性を認めない傾向が強いため、青色申告を狙う場合は取引規模だけでなく運営体制を整備しましょう。

事業所得になると青色申告特別控除や損益通算の幅が広がるため、節税効果が大きい一方、事業実態の証明責任も重くなる点には注意が必要です。

税率早見表とシミュレーション方法

雑所得が確定すると、他の所得と合算した総合課税が適用されます。
以下に 2025 年度時点の速算表を示します(住民税10%込)。

税率計算早見表

課税所得(円)所得税率住民税合計税率
0~1,949,0005%10%15%
1,950,000~3,299,00010%10%20%
3,300,000~6,949,00020%10%30%
6,950,000~8,999,00023%10%33%
9,000,000~17,999,00033%10%43%
18,000,000~39,999,00040%10%50%
40,000,000 以上45%10%55%

たとえばレンディング利息が 200 万円で給与所得が 400 万円なら、合計 600 万円が課税所得のベースになります。このレンジだと合計税率はおおむね30%となり、利息 200 万円に対して約60 万円の税負担が生じる計算です。

税負担を見積もる際は、プラットフォームの「毎月付与額×12 か月」で単純計算せず、受領日の時価を月次で拾って年次集計する必要があります。市況次第で円換算額が大きく変動するため、簡易シミュレーションでも価格変動シナリオを複数用意すると精度が上がります。

現在、政府与党で申告分離課税(20%程度)の導入が議論中です。制度が変われば税率も変動しますので、長期投資プランを立てる際は「現行制度での負担」と「改正後の負担」を二重に試算しておくと判断しやすくなります。

仮想通貨レンディングの税金タイミングはいつ?

税率を理解したら、次は「いつ課税が発生するか」を押さえましょう。タイミングを誤ると、本来より多くの税金を納めてしまうおそれがあります。

利息受領時課税のルール

国税庁 FAQ は「報酬を受領した時点の時価で課税」と明示しています。つまり毎月 1 ETH をもらうサービスなら、毎回その配布日の円換算額を都度所得に計上します

プラットフォームによっては月末一括付与や四半期一括付与を採用しており、この場合は付与が確定した日が課税時点です。配布が遅れると課税も後ろ倒しになるため、配当スケジュールを事前確認しておくと資金繰りの計画が立てやすくなります。

米国 IRS や英国 HMRC も基本的に「受領時点課税」の立場を取っており、国際的に扱いは概ね共通です。したがって海外プラットフォームを利用しても、日本と同タイミングで課税が生じると理解しておけば大きなズレはありません。

元本返還不能時の損失計上

貸付元本が返還不能になった場合、税務上は「債権放棄損」として必要経費に算入できます。ただし、法的に返還不能が確定していることが前提です。

プラットフォーム破産手続き中など、債権の全貌が見えない段階では損失を認めてもらえないケースが多く、確定申告時点では利息だけ課税される「課税のみ残って元本消失」という事態が起こり得ます。

損失計上には破産確定通知や配当予測表などの客観的書類が不可欠です。海外業者だと資料入手が難しい場合があり、リスクコントロールの観点からも国内業者の利用を選ぶメリットは大きいでしょう。


仮想通貨レンディングの確定申告のやり方

仮想通貨レンディングの確定申告のやり方をざっくりと解説します。

STEP
まず申告が必要かチェック

以下の人は申告が必要です。

  • 自営業・フリーランスの場合、給与2か所以上、副業20万円超の人。
  • 給与のみで年末調整済だが、副業(投資やレンディング含む)輸入が20万円以上の人
STEP
2択の提出方法からどちらかを選ぶ
  • e-Tax(電子申告):マイナンバーカード+スマホorICリーダで完結。還付最短2〜3週間、青色控除65万円まであり。
  • 紙(郵送・窓口):手書き or 印刷+添付書類。処理・還付はやや遅めです。
STEP
スケジュール
  • 2026年2月16日受付開始。
  • 2026年3月16日申告・納付期限。
  • 還付申告なら1月から5年間いつでもOK。
STEP
準備するもの
  • 源泉徴収票
  • 収支内訳書/青色決算書
  • 控除証明(保険・医療費・寄附など)
  • マイナンバーカード
  • 暗証番号2種
  • e-Taxならマイナポータル連携で保険料やふるさと納税データを自動取り込み
STEP
最速5ステップ
  1. 環境確認
  2. 情報自動取得
  3. 所得・控除入力
  4. 計算・送信
  5. 納税または還付

仮想通貨レンディングの金利とステーキングとの比較

ここまで税務面の基礎を解説しましたが、そもそもレンディングサービスとは何かを整理しておきましょう。仕組みを理解することで、リスクとリターンのバランスを見極められます。

仮想通貨レンディングの契約について

レンディング契約は大きく「固定金利・固定期間型」と「変動金利・流動期間型」に分かれます。固定型は年利 5~8%程度が多く、満期まで資産がロックされる代わりに収益が読めます。
変動型は日次や週次で金利が変動し、現在は二桁利回りを提示する海外業者もありますが、市場悪化時に大幅ダウンすることもあります。

仮想通貨レンディングの金利一覧は、以前にまとめた記事があるのでそちらを読んでみてください!

仮想通貨レンディングの金利一覧表を公開!業者選びのやり方がすべてわかる!

選定時は金利だけでなく「信託保全の有無」「破綻時の優先弁済条件」「スマートコントラクト監査報告書の公開状況」などをチェックしましょう。手数料が金利に内包されている場合は実質利回りが下がるため、利息付与の計算式を事前に比較することが大切です。

レンディングの税金はおかしい?ステーキングとの違いを比較

レンディングと並んで人気があるのがステーキングですが、税務処理には共通点と相違点があります。違いを理解することで、より有利な運用方法を選択できるようになります。

仮想通貨レンディングの負担軽減テクニック

ステーキング報酬も原則雑所得ですが、年間 20 万円以下なら確定申告不要(給与所得者の場合)となる点が初心者には大きな違いです。

年間 20 万円を超える見込みでも、分散投資で付与タイミングを調整すれば、単年の雑所得を 20 万円以下に抑えるテクニックがあります。ただし複数アドレスの合算が必要なので注意してください。

レンディングは途中解約で受領時期をずらす「受取日調整」が可能なのに対し、ステーキングはロック解除がプロトコルに依存するため自由度が低い傾向があります。税負担を抑えたい場合は、報酬発生サイクルと自身の所得スケジュールを照合して商品選択することが重要です。

仮想通貨の税金に抜け道はあるのか?リスクと罰則を理解

仮想通貨投資家の間では「海外取引所に置いておけばバレない」「暗号資産は匿名だから課税されない」といった都市伝説が根強く残っています。

しかし 2025 年時点で世界各国は取引情報の自動交換体制を急速に整備しており、実態はむしろ“逃げ場”が狭まっています。最悪の場合は重加算税や刑事罰の対象となるため、節税と脱税を混同しない姿勢が重要です。

最初のポイントは、OECD が主導する Crypto-Asset Reporting Framework(CARF)と EU の DAC8 です。これらは銀行口座を対象とした CRS(共通報告基準)の暗号資産版で、海外取引所の残高やレンディング利息が日本の税務当局へ自動共有される仕組みです。

日本は 2025 年秋の臨時国会で関連法整備を予定しており、施行後は無申告の発見率が格段に高まるとみられます。

無申告・過少申告が発覚した場合のペナルティについて

税務署の調査で故意性が認定されれば、追徴税額に対して 40 % の重加算税が課されるほか、1 年以下の懲役または 50 万円以下の罰金が併科される可能性があります。暗号資産関連の重加算税事例は 2023 年以降に急増しており、国税庁が重点管理対象に位置付けている点は看過できません。

誤って確定申告漏れが発生した場合は「期限後申告→修正申告→更正の請求」という救済手続きが用意されています。追加納税と無申告加算税(最大 15 %)で済むケースも多く、調査着手前の自主的な修正はリスク低減に有効です。

抜け道と勘違いされやすいケース
  • 海外取引所だけで運用すれば捕捉されない
  • 20 万円以下の雑所得なら何回でも確定申告不要
  • ステーブルコイン利息は為替差益扱いで非課税
  • ハードフォークやエアドロップは課税対象外

これらはすべて誤認または条件付き適用です。たとえば 20 万円基準は給与所得者限定で、事業所得がある個人は適用外となります。判断に迷う場合は税理士へ相談し、曖昧なまま申告を見送らない姿勢が重要です。

仮想通貨レンディングの税金についてよくある質問

仮想通貨レンディングの税金についてよくある質問
  • 海外居住者はどう申告する?
  • 法人でレンディングした場合の税率は?
  • 交換業者破綻時の損失は控除できる?
  • レンディングとステーキングの損益通算は可能?

海外居住者はどう申告する?

日本を離れて 1 年以上海外で生活し、その国の居住者となった場合、原則として日本での確定申告義務はなくなります。ただし、国内源泉所得(日本取引所でのレンディング利息など)が発生していれば源泉徴収の対象になります。

二重課税を避けるには、現地と日本の租税条約を確認し、必要に応じて居住証明書を提出してください。源泉税率軽減の適用を受けるか、外国税額控除で調整するかは国ごとに異なります。

非居住者であっても e-Tax ログイン用のマイナンバーカードを保持していればオンラインで申告できます。郵送の場合は「非居住者用申告書」を添付し、代理人を選任して提出する方法が一般的です。

法人でレンディングした場合の税率は?

日本法人がレンディング利息を得た場合、法人税・地方法人税・事業税・住民税を合わせた実効税率は約 30 % です。個人最高税率 55 % と比べ負担は軽く、社会保険料増を考慮してもなお有利なケースがあります。

会計処理は時価評価が原則で、期末時点で含み損があれば減損損失を計上できます。ただし翌期に評価益が発生した際は課税所得が一気に増えるため、キャッシュフロー管理が欠かせません。

法人が第三者資金を集めてレンディングを行う場合、貸金業登録など複数のライセンスが必要で、違反すれば刑事罰の対象になります。事業化を検討する際は、金融庁ガイドラインと弁護士意見書の取得が必須です。

交換業者破綻時の損失は控除できる?

国内交換業者が破綻した場合、法的に弁済不能が確定すれば「債権放棄損」として損失計上が可能です。破産開始決定や配当不能通知などの書類が必要となります。

海外業者では書類取得が難しく、税務署が損失を認めない事例が多数報告されています。リスクを抑えるには、信託保全付き国内業者を選ぶか、多数のプラットフォームに分散することが有効です。

損失が当年の雑所得を上回っても、雑所得同士でしか通算できず、翌年以降への繰越控除はできません。事業所得として扱えれば 3 年繰越が可能ですが、事業性判定のハードルは高い点に注意してください。

レンディングとステーキングの損益通算は可能?

いずれも雑所得に分類されるため、同一年内であれば損益通算が可能です。たとえばレンディングで 50 万円の利益、ステーキングで 30 万円の損失なら、差引 20 万円が課税対象となります。

通算後の雑所得が 20 万円以下なら給与所得者の確定申告が不要となるケースがあります。ただし損失を意図的に出す「ハーベスティング」は税務署が注視しており、合理的な経済合理性がないと否認されるリスクがあります。

損益通算を前提にポートフォリオを組む場合、レンディングとステーキングの付与サイクルをずらし、年内で損益のタイミングを合わせると計算が容易です。取引履歴を月次で集計し、年末に通算額を確定させる運用フローを構築しましょう。

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